ランドスケープと夏の定理 Audible版 感想 (ネタバレあり)
タイトルは知っていて、ナレーターが池澤春菜さんだったのでチョイスした 全体を聴き終えて、いろいろなxxっぽいが思い浮かびはするが、たぶんどれも根本的にはこの作品でいう "双対性" があるんじゃないかと思った
最初に思ったのはエヴァっぽいってやつで、池澤さんの声もあってか姉は完全にアスカだったし、ウワスラ(だったっけ?)はその出自もあいまってレイっぽかったし、主人公はシンジだ もっとも、その後でてくる人工知能のスイがもっとレイっぽい感じはした
あと、最終的に九州から四国あたりが舞台になるのもなんかシンクロニシティというか
最後には世界を作りかえるのは人類補完計画だよなあと
主人公は2分割された自我に対して、激烈な感情を持っていたようだが、終始それに感情移入できなかった
そもそも、ゼノン停止自体個人的には不要だとおもっていて、自我をデータ化できるのであれば、それは肉体からの解脱が為ったわけで、もはや肉体に戻りたいという感覚がわからない
肉体に戻りたいニーズがあったとしても、ワンショットのロボットかアンドロイドなんかに自我をインストールすればいいだけじゃね?という
意識の連続性など興味がない、自分が分散して存在していればいいとおもう、タチコマみたいな感じ そういう意味ではたまに並列化できるといいかも
また、記憶...?を魂と表現するのがいささか納得できなくて、記憶によってのみ人間が動いてるのだとしたら、自分は演繹可能ということになってしまい、今ここでこうして自分が文章を書いているのも決定論的なだけで、そこには自由意志などは存在しないということになってしまう
その辺は哲学で議論があったような気がする
まあ、だからこそ作中世界では虚無主義が蔓延していたのかもしれないが...
情報演算対の死についての対話もあったが、ウワスラが唯一性にこだわっている理由がよくわからなくて、バックアップをとっときゃいいだけの話で何をウジウジしてんだとおもってしまった
まゆしぃもでてくるし、ダルはちょっと違うけど姉の共同研究者だし
姉はハルヒだし、主人公はキョン、長門(共同研究者)も出てくるし小泉(軍人)もでてくるしみくる(指導教官)もいる 2章のベアトリスの傷つかない戦場は、ロシアとウクライナの間で軍事衝突が起きている今からすると、現実で起きている暴力に対して科学というか、作中で言う "理論" の無力さを痛感していたので、主人公が思い悩むことに少しシンクロできた ただ、残念だったのは実際の戦闘をマクガフィンで終わらせてしまったことで、それじゃあドラえもんだろうと少々がっかりした 全体を通じて姉への執着がそもそもちょっと気色悪いところに、人工妹、指導教官とまるでラノベかギャルゲみたいに女性たちが配されているのが気持ち悪かった そして最終的に小泉と姉が結婚するってオチは心底気色悪くて(自分の中では姉はそういう世俗的な関わりは持たなそうという印象だった、あったとしても Inside Job のレーガンみたいに自分で作るとかしてそう)いろいろ理論的な部分で見識は深いのかもしれないけど、ステレオタイプな性表現が未来的な世界観を損なっているように感じた 例えば共同研究者はレズビアンで、未来では同性同士の子供をつくれるようになっているとか、なんでもやりようはあったろうにとおもった